巻数比のじゃない
共振と電源 #5 ── 二巻線トランスの結合 k
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教科書の「電圧は巻数比 n 倍」は、低周波・密結合(k≈1)の極限の顔にすぎない。実物の二巻線トランスは、一次から見たインピーダンス Zin(jω) = R₁ + jωL₁ + ω²M²/(R₂+jωL₂+RL) という一本の式で全部決まる。ここで M = k√(L₁L₂)、結合係数 k がすべての鍵だ。

この式には三つの物理が同居している ── 低域で立ち上がる 磁化インダクタンス(∝ωL₁)、中域の 反射平坦部(≈RL·L₁/L₂ = RL/n²)、そして k が下がると直列に立ちはだかる 漏れインダクタンス(∝ωL₁(1−k²))。断面図の磁束と、下の |Zin|(f) 曲線を、つまみで一緒に動かしてみて。

セルフテスト実行中…

巻数比 n² の反射則は、低周波・密結合の極限の顔だ。k を下げると漏れインダクタンス L₁(1−k²) が直列に立ちはだかり、反射平坦部は 1/(1−k²) の幅しか続かない ── k=0.99 なら約 1.7 桁、k=0.3 なら平坦部はほぼ消えて、漏れがすぐ支配する。そして巻線間の容量が絡むと(次回)、この綺麗な絵はもっと崩れる。

「開放で測れば L₁、短絡で測れば漏れが見える」 ── LCRメータの二回測定はこの式の低周波/高周波漸近をなぞっているだけだ。開放(RL=∞)で Zin=R₁+jωL₁ → 傾きが L₁。短絡(RL=0)で高域漸近が jωL₁(1−k²) → 傾きが漏れ。二つの測定値から k が逆算できる。