巻線の中の
共振と電源 #6 ── 倍音列は境界条件の産物
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コイルは「一つの L」ではない。長い巻線は、区間ごとの L と、線間・対地の C が延々と連なった LCラダーだ。だから弦や気柱と同じように、定在波を張る ── 決まった形(固有モード)と、決まった振動数(固有周波数)を持つ。

左端を 短絡(接地)、右端を 開放(高圧端)にすると、モード形は uj=sin(jθk)、周波数は ωk=(2/√(lc))·sin((2k−1)π/(4N+2))。低次はきれいな 奇数倍列(1,3,5,7…)に乗り、高次は離散分散で下へ垂れる。つまみを回して、巻線の中で立つ波を見てみて。

セルフテスト実行中…
モード k

倍音列は部品の性質ではなく、境界条件の産物。短絡-開放だから奇数倍(1,3,5,7…)になる。もし両端が同種(両端開放や両端短絡)なら整数倍列になる。弦(両端固定)も気柱(両端開)も整数倍、クラリネット(片閉管)は奇数倍 ── 巻線はクラリネットの仲間だ。

N が小さいほど離散分散が効いて高次が早く「垂れる」。実機のコイルで高調波が理想の奇数倍からずれて見えるのは、この有限区間の分散が主因のひとつ。駆動点をモードのに置くと、そのモードは呼べない ── 帰還巻線をどこに巻くか、という設計の勘所につながる。